カスハラとは?どこから該当する?正当なクレームとの違いと具体例
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厚生労働省の指針は、職場におけるカスタマーハラスメントを、次の3つをすべて満たすものとしています。この記事は、その文章を短くしたものです。ある言動がカスハラにあたるかの判断はしていません。
3つの要素
- 職場において行われる、顧客等の言動であること
- その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること
- それにより、労働者の就業環境が害されること
「職場」は、労働者が業務を遂行する場所です。通常の勤務場所でなくても、取引先の事務所、打合せの飲食店、顧客の自宅など、業務を遂行する場所であれば含まれます。
「顧客等」は、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他、その事業主の事業に関係を有する者です。指針が例として挙げるのは、商品の購入やサービスを利用する者、今後その可能性がある者、事業について問い合わせをする者、取引先の担当者、契約に向けた交渉の担当者、施設やサービスの利用者とその家族、施設の近隣住民です。お店の近所の人すべて、という書き方は、指針にはありません。電話やSNSなど、インターネット上で行われるものも含まれます。対面の店舗だけではありません。
正当な申入れとの違い
顧客等からの苦情のすべてがカスハラに該当するわけではありません。客観的にみて、社会通念上許容される範囲で行われたものは、正当な申入れであり、カスハラには当たりません。
許容される範囲を超えた言動とは、社会通念に照らし、言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、または手段や態様が相当でないものを指す、と指針は書いています。内容と、手段や態様の一方だけが範囲を超える場合でも、該当し得ます。両方が超えていなければならない、とは書かれていません。
指針が挙げる典型例の一部
次は、指針の典型例の一部です。限定列挙ではなく、個別の事案の状況によって判断が異なる場合もあり得る、と指針自身が注意しています。
- 内容:要求に理由がない、商品やサービスと全く関係のない要求。性的な要求や、労働者のプライバシーに関わる要求は、この区分の例です
- 内容:契約で想定しているサービスを著しく超える要求。契約金額の著しい減額、対応が著しく困難または不可能な要求、商品やサービスと無関係な不当な損害賠償の要求
- 手段や態様:身体的な攻撃。殴る、蹴る、物を投げつける、つばを吐きかける、など
- 手段や態様:精神的な攻撃。脅迫、中傷、侮辱、人格を否定する言動、土下座の強要、SNSへの悪評の投稿をほのめかす発言、盗撮や無断での撮影、など
- 手段や態様:威圧的な言動。大きな声で労働者や周囲を威圧すること、など
- 手段や態様:継続的、執拗な言動。同様の質問や電子メールを執拗に繰り返すこと、揚げ足取り、執拗な責め立て、など
- 手段や態様:拘束的な言動。長時間の居座りや、電話で労働者を拘束すること、など
判断のときに、指針が挙げる要素
- 言動の目的、行われた経緯や状況(労働者の問題行動の有無や程度を含みます)、業種・業態、業務の内容・性質、言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性などを、総合的に考慮することが適当、とされています
- 就業環境が害されるかは、平均的な労働者の感じ方を基準とすることが適当、とされています。頻度や継続性は考慮しますが、強い身体的または精神的苦痛を与える態様の言動は、1回でも就業環境を害する場合があり得ます
- 事業主または労働者の側の不適切な対応が、その言動の原因や背景になっている場合もあることに留意する、とされています
障害を理由とする求めは、それだけではカスハラではない
指針は、障害者から労働者に対して、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律で禁止されている不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること自体は、カスハラには当たらない、としています。同法に基づき、実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮をしなければならない、という留意も書かれています。
該当するか微妙でも、相談には広く対応する
指針は、相談窓口について、カスハラが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにする、としています。労働者が相談をためらうこともあるので、心身の状況や、そのときの受け止めにも配慮する、とも書いています。窓口で「これはカスハラだ」と決めることを、指針は求めていません。
参考
事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号)(厚生労働省)